「かいちょうな話」
TEAM GREX会長
       藤沢 武  

 なんだかウキ立つ春の磯。仕舞い込んでいた釣道具が気になりだし、いざ行くゾぉ〜となったらどこに何があるか判らない。「アレどこやったかなぁ〜いつもこれなんだよなぁ〜」と焦りつつ心は早くも磯の上。こんな時必ず忘れ物をする。まてよ、ここで <<< して反省の数々。去年、しまい込む前に@完璧に手入れをしたか。A年明けに使う時の事を考えながら仕舞ったか。Bそれより前に「俺は整理整頓が苦にならない人間か?」そこで知人に「釣りと整理整頓のココロ」を聞いてみた。まずはNHKラジオ深夜便「ナイトエッセイ」で「日本記録を釣った若者」のタイトルで5日間全国のリスナーを惹き付けた高橋哲也さん。いきなりいい話を始めた「年季の入った大工さんが現場にどういう格好でどう現れどう仕事に入るか知ってますか?動きやすいから、だいたい軽トラックですよ。荷台には手作りの道具箱だけ。中身はジックリと使い込まれた道具類。手に馴染んでムダな物がないスキがない。現場に立つと「きょうの仕事の段取り」は頭の中で緻密に組み立てられていてリズミカルでさりげない。「自分の腕に自信を持っていていいなぁ〜といつも思う」釣りも道具は手に馴染むまで使い込む。ムダな物はないか絞り込む。更にコンパクトで動きやすいか・・を考える。不思議に思うのは「モノを入れるモノ、を入れるモノ」って多すぎると思いませんか?相変わらず感性の鋭い哲也さんの話。
 次は阿波・徳島の江頭弘則さん。絶妙の話し手だけに話しの切り口が意表をつく「整理整頓」の「整理」の意味は不必要なモノを取り除く意味。さらにキチンと片付け整った状態にするのが「整頓」。釣りの場では持っていくモノに余分なモノ、不必要なモノはないか普段から吟味し、どこになにがあるか何をどこに入れれば&置けば機能的かあらゆる条件・場面を考えていく。これはある意味「釣りの楽しみの一つ」なんです。子供の遠足。釣行前夜の皆さんが共通して持つ気持ちは「イメージを豊かに描きその想像が果てしなく広がる」から沸き立つような気持ちになる。つまり整理し整頓する「そのこと」から釣りの楽しみはすでに始まっている。また普段から「整理整頓の意識」を持っていればキチンとしょうという行動に繋がる。釣れてしまった餌取りを水たまりに捨てて「釣り場を臭くする」ことはなくなるし磯の撒き餌もキレイに流す「きのう誰が乗っとったん?あぁ徳島の江頭さん、ごっついキレイにしとるでぇ〜」名手は「恥ずかしいマネだけはしたくない」と本気で思っている。この二人の「手練れの勇者」が声を大にして力説したのは実はこんなコトではなかった。磯釣り場での「整理整頓」最大の狙いは実は「安全面」だった。緊急時のとっさの避難&撤収にあなたの荷物は対応出来るだろうか?事態の急変に即応出来るだろうか?更に云えば「荷物はあとで買える」「大自然のまっただ中、危機感をもちながら心の整理整頓がキチンとできているかが実は最も大切なことなんです」そうかぁ「整理整頓のココロ」とは「こころの整理整頓」なんだ。いい話に妙に嬉しくなった。


平成16年3月