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会長新年のあいさつ |
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TEAM GREX会長
藤沢 武 |
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東北地方の磯といえば黒鯛か真鯛が狙い目となる。中でも日本海に面した新潟県村上市の北、「笹川ながれ」から山形県鶴岡に至る長大な磯は全国屈指の黒鯛釣り場。水深は浅く巨大な岩がゴロゴロして魚影の濃さを誇る。手練れの釣り師たちは巧みに払い出しに撒き餌とサシ餌を乗せ溝を探っていく。黒鯛を掛けたのはいいがモタモタしていると取り込めない。仕掛けが「岩に当たる擦れる」は、ここでは当たり前。当然、丈夫でどっしりとしたウキが求められる。ガンガン当ててもビクともしない圧倒的な強度を誇る「GREXウキ」の人気が高い。作家・藤沢周平作品に数多く登場する山形県庄内地方。「庄内竿」の伝統が受け継がれている釣りの盛んな所。江戸安定期に入り武士の心身鍛錬を狙って藩主は「藩士の釣り」を奨励した。「釣り好きの武士はたまんないねぇ〜」と思ったら、これが大変なのである。鶴岡から一番近い加茂の磯まで約10km。しかも山越えをして歩きで片道二時間半もかかるのだ。朝のマズメ時を狙う為、連れだって暗いうちから出立。長距離と暗闇に気を紛らわせる為「四書五経」を諳んじながら歩いたというから昔の人は全てに丈夫だ。その姿を想像するに「ビクは腰に、背中はタスキ掛けの握り飯多め、片方の腰には水筒の竹筒、足もとは磯歩きする為、タビにワラジで固める、何かと役立つ手ぬぐいは一枚ではなかったろう、当然、日よけの笠をかぶり、雨が考えられる場合は蓑姿、担いだ肩には世に有名な特産「苦竹の庄内竿」。五尺のクロコ(メジナの子)竿〜四間を超えるスズキ竿まで、その日の獲物に合わせた長さのノベ竿姿で大汗をかきながら磯場を目指したに違いない」達者な庄内の人々は、その竿を見ただけで「きょうの狙いめ」が判ったであろう。「スズキドノ、きょうはクロコ狙いかな?」「左様、ウチは奥が魚好きでの、難儀なコトじゃ〜」等という会話があったやもしれぬ。いつの世にもいるが中には要領のいい藩士もいたようだ。山を越した麦野浜〜加茂にかけて集落がある。なにも重い荷物をその都度はこぶより餌の調達先や馴染みとなった家に預けておく人間も出てくる。だが竿だけは持ち帰る。釣行後必ず火入れをしてタメをいれ真っ直ぐにし「魂を込めた」。決して跨がなったというから釣りに対する姿勢と庄内竿に対する考え方の一端が知れる。釣りをしていて磯から海に落ちて禄を減らされた記述も出てくる。「武士に油断があってはならぬ!」庄内藩での武士の釣りはレジャー&遊びではなく心身鍛錬の場だったようだ。わが家で「釣りは男の鍛錬の場である。決して単なる遊びではないのだ!」などと間違って言えば「なにがタンレンよ!レンタンみたいな顔して!」と倍返しのメにあいそうなので今年も一年、カナイアンゼン、健康第一、安全第一、そして「マナー第一」で楽しい釣りライフでありますように。
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平成16年1月 |
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